第11回 ライター岩田のトラキャンライフ

2022年10月01日

ライター岩田のトラキャンライフ

 

第11回 トラキャンのエアサスと空気圧管理のオハナシ

 

C77C6727-DB14-4076-9E01-449ABD26AC29

 

みなさん、トラキャンライフを満喫してますか~☆

 

こちらは8月の北海道の旅で12日間も仕事を休んだシワ寄せで、9月はほぼ休みなし……。とはいえ、各地の取材現場までの往復でハイラックスをガンガン乗り回しているので、ストレスはまったくありません。このコラムで何度も書いたけど、クルマ単体で普段の足に使えるトラキャンってホント最高♪ キャブコンをファーストカーにしていた時代とは比べ物にならないほどドライブが快適になったし、シェルを積んでなくても大好きなハイラックスに乗れるだけで常にワクワクした気持ちを味わえます。

 

「いや~、ハイラックスのトラキャンに乗り替えてホントによかった~!」

 

で、今回のテーマは、トラキャンにまつわるちょっとマニアックな話。

 

ミスティック製トラキャンは、ベース車両のピックアップトラックに装着するリアエアサスが「必須オプション」になっています。コレは、リアのリーフスプリングとフレームの間にかませた風船状のエアバッグで、シェル積載時の重量による尻下がりを防止するパーツ。空気でエアバッグを膨らませてリアの車高を上げ、車両を正常な姿勢に矯正します。そこそこ高額なので、ひょっとしたら「いや~、ウチは必要ないよ。別に尻下がりでもいいし」と思う人もいるかもですが、コレ、トラキャンには絶対に必要です!

 

 

エアサスで尻下がりを矯正する理由

 

C17B4689-BD88-4636-821B-90B719161F5F

 

ピックアップトラックの荷台にシェルを積載するとき、ジャッキの脚を縮めて荷台に荷重がかかると、シェルの重みでサスペンションが縮んでリアが沈み込みます。ジャッキの脚が宙に浮いてシェルが荷台に載ると、クルマの姿勢は完全に「ケツ下がり」に……。

 

この状態で走ると何が起こるのか? リアに荷重がかかった尻下がりの姿勢は、極端に言うと「ウイリーしながら走っている」のと同じこと。フロントの荷重が抜けているので前輪の接地感がなく、走行安定性が極端に悪化します。直進安定性が損なわれてフラフラとした挙動になる、制動距離が長くなる、コーナリングの安定性が悪化する、乗り心地が悪くなるなど、いいことはひとつもありません。

 

試しにエアサスの空気を抜いて走行してみたこともありますが、明らかに走行性能が悪化していて「やっぱりエアサスは必須だなぁ~」と実感しました。ミスティックが「必須オプション」にするには、ちゃんと理由があるワケです。

 

エアサスは空気圧管理がシビア

 

そんな感じで、トラキャンには必須のエアサスですが、空気圧はどれくらいがベストなのか? うちのトラキャンが納車されたときは、ミスティックで470kPaに設定してくれましたが、少し硬めの安定した乗り味が好みなので、その後エアを20kPaずつ足して、最終的に520~530kPaあたりに落ち着きました。その辺は好みもあるので、実際にエアサスの空気圧を調整しながら乗ってみて、一番快適だと思う数値を見つけ出せばいいと思います。

 

83BE2DCB-0B86-4618-9270-F1E5F7E8A1A7

 

注意したいのは、エアサスの空気圧管理は意外とシビアだということ! ミスティックの標準リアエアサスは、左右のエアバッグそれぞれにエアホースとエアバルブを装着した、もっともシンプルな構造になっています。シンプルさゆえの「エア漏れリスクの低さ」がメリットですが、「いちいちエアバルブから空気を入れるのが面倒」「空気圧計がないのでエアの管理が難しい」といったデメリットも。

 

エアサスの空気は、タイヤと同じで時間とともに自然漏洩するし、気温が下がれば空気圧も下がります。しかも、空気の量が圧倒的に少ないせいか、タイヤと比べて空気圧の変動が激しい! シェル積載時と空荷の状態では空気圧が大きく変わるし、空気圧の計測時にバルブからプシュっとエアが漏れただけでも20kPaほど空気圧が下がります。長期間まったく空気圧を調整しないまま走行して、「何だかボディがフラフラと安定しないなぁ」と思ったら、エアサスの空気が抜けている可能性が大! トラキャンで走行する際は、出発前に必ずエアサスの空気圧をチェックしましょう。

 

空気圧管理のオススメパーツ3選

 

1B377EA9-86A6-4578-9E24-76EE6F440646

 

オススメパーツ1つ目は、空気圧を測定するエアゲージ。もちろん、タイヤの空気圧管理で使用しているもので問題ありません。シェルを降ろしたときにエアサスの空気を抜く必要があるので、エア抜きボタン付きのタイプが便利です。

 

D83E125D-EE9F-4B1D-B49B-B663A741BE88

 

オススメパーツ2つ目は、小型の充電式エアコンプレッサー。これをクルマに積んでおけば、いちいちガソリンスタンドに行かなくても自宅や駐車場でエアサスの空気圧を調整することができます。走行時に「もうちょっとしっかり感が欲しい」と思ったら、クルマを止めてバルブからエアを足してやればOK。ちなみに、わが家で使っているのは、アイリスオーヤマの充電式エアコンプレッサー(約8000円)。以前Amazonで同様の格安中華製品を購入したものの、半年も持たずに壊れて買いなおしました……。「安物買いの銭失い」にならないように、最初から信頼できるメーカーの物を買っておくのがオススメです。

 

F8C66FE1-ECBC-42DE-91CB-542ED864F10D

 

オススメパーツの3つ目は、バイク用のTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)。センサーをエアバルブに装着するだけで、運転中でもエアサスの空気圧を確認できるようになり、適切な空気圧管理をサポートしてくれます。わが家が使用しているのは、「FOBO Bike 2」(約1万円)というバイク用TPMSで、これを使えばエアサスの空気圧をスマホで常時モニタリングできます。

 

これからトラキャンに乗る人に知っておいていただきたいのは、「トラキャンにはエアサスが必須」ということと、「エアサスの性能を100%発揮するには空気圧管理が重要」ということ。せっかくのエアサスが宝の持ち腐れにならないように、適正な空気圧管理を心がけて快適なトラキャンライフを実現してくださいね♪

 

 

キャンピングカーライフ研究家/ライター 岩田一成

 

バンコン、キャブコンを乗り継ぎ、現在の愛車はSPL仕様のJ-CABIN HNを載せたハイラックストラキャン。
累積1000泊以上のキャンプ・クルマ旅の経験と、14年以上のキャンピングカー取材経験をベースに、雑誌、WEB、テレビなど様々な形でキャンピングカーの魅力を発信中!