第23回 ライター岩田のトラキャンライフ
ライター岩田のトラキャンライフ
第23回 トラキャンJキャビンHNのリチウム化が完了しました!
前回のコラムで書いたとおり、幕張メッセのお仕事車中泊で猛暑の洗礼を受けてリチウム化を決意した筆者! ミスティックに愛車の作業をお願いして待つこと約3週間、ついに佐藤社長から「できたよ」と連絡がありました!
代車にカミサンを乗せてミスティック本社に向かうと、そこには「第二形態」に進化したトラキャン岩田号の姿が! 久々に再会した愛車の姿を見て、「やっぱりカッコいいなぁ~」と愛車バカっぷりを発揮してしまいました(笑)。
そんなワケで今回は、新たに搭載したリチウムイオンバッテリーシステムについて詳しく紹介しようと思います!
ミスティック最強の428Ahリチウムシステム!
言うまでもなく、今回のバージョンアップのキモは、サブバッテリーのリチウム化です。既存のツインサブバッテリーを撤去して新たに搭載されたのは、ナント、新型アンセイエに標準装備されている超大容量の428Ahリチウムイオンバッテリーシステム!(インバーターのみ、納車時に持ち込んだものを流用) ミスティックの純正システムとしては最高峰になります☆
JキャビンH/HNをリチウム化する場合、通路のフロント側にボックスを作ってコの字型ダイネットに変更し、ボックス内にバッテリーや充電器、配線類をスマートに設置します。スペースの都合上、JキャビンH/HNに装備できるのは最大300Ahですが、「どうせ積むならデカい方がいい!」と、トラキャン製造担当の永登さんに無理を言って、特別な加工を施すことで何とか搭載してもらいました。トラキャンに428Ahのリチウムシステムを積んだのは、このクルマが初となります!
もちろん今回のリチウム化では、バッテリーだけではなくトータルでシステムを構築し直しています。走行充電器は40A、外部充電器は43Aに変更。走行充電の配線は極太の38sqケーブルを新規で車両から引き直し、車両とシェルを接続するコネクターは大電流に対応した巨大なアンダーソンプラグに変更しました。現在YouTubeなどでは、大容量バッテリーや大電流充電の話題が増えてスペック競争のようになっていますが、ミスティックのシステムはあくまでも「キャンピングカーで、車両に負担をかけず、トラブルのリスクがなく、安心して長期間使用できるリチウムイオンバッテリーシステム」です。
ミスティックが採用するリン酸鉄リチウムイオンバッテリー
ちなみに、ミスティックでは4年ほど前からリチウムイオンバッテリーの導入をスタートしています。何事もとことん追求しなければ気が済まない佐藤社長らしく、様々なバッテリーを試し、内部を分解し、リチウムに関する知識やデータを蓄積し、ようやく安全に使用できる現在のリチウムイオンバッテリーにたどりついたそうです。
バッテリーの種類は、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー。構造上発火のリスクが極めて低く、リチウムイオンバッテリーの中でも安全性が高いことで知られていますが、ミスティックでは、キャンピングカーに搭載することで考えられるあらゆるリスクを排除するため、さらに様々な取り組みを行っています。
・1つ目は、万が一の事態が起こった際にベントが開いて内部の圧を逃がすバッテリーセルを使用していること。
・2つ目は、衝撃に耐える頑丈なスチールケースにバッテリーを収納していること。
・3つ目は、バッテリーの心臓部とも言えるBMSの性能や信頼性に徹底してこだわり、出荷前には1つ1つスチールケースを開けてセルやBMSの検品を行っていること。
現在ミスティックのリチウムイオンバッテリーは、キャンピングカー用や業務用として多くの企業で使用されており、これまでに出荷された総数はナント3000個以上! より信頼性の高い製品を目指して数回のマイナーチェンジを繰り返し、完成度の高いバッテリーへと進化を続けています。
今回愛車のトラキャンに搭載されたリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、ミスティックがこだわりの末にたどり着いた現時点での「最適解」です。キャンピングカーにとって、安全性は何よりも重要なファクター! こうしたミスティックの取り組みを知っておくと、より安心してリチウム導入に踏み切れると思います。
リチウム化に伴う様々なアップグレード
今回トラキャンのリチウム化と同時に、外部扉の追加とウインドーエアコンの装着もお願いしました。室外機を積むスペースがないトラキャンでは、冷房性能、取り付けやすさ、利便性をトータルで考えると、やはり現実的なのはウインドーエアコンです。ミスティックでは冷房能力1.6kWのモデルを使用していますが、筆者は暑がりなので冷房性能1.8kWのモデルを持ち込んで取り付けてもらいました。
上部に付いていたレンジフードを撤去して、追加した外部扉の開口部にエアコンを装着。周囲は家具で覆うのがデフォルトですが、必要のない季節にエアコンを取り外せるように手前の壁はなくしてもらいました。リチウム収納用のボックスと同様に、こちらのインストールも完璧です!
サブバッテリーの大容量リチウム化に伴って、屋外用の2口コンセントも追加してもらいました。これがあることで、キャンプなどの際にサブバッテリーの電気を車外で使用できるようになります。
鉛のツインサブバッテリーやAC充電器、インバーターが収納されていたスペースは、化粧板できれいに作り直して収納庫に。職人さんのこうした細やかな配慮は、本当にうれしい限りです。
最後にバッテリーの重量について説明します。ミスティックで採用しているリチウムイオンバッテリーの重量(ケース含む)は、428Ah/46kg、300Ah/32kg、200Ah/23kg、100Ah/12kg。鉛ディープサイクルバッテリーのほぼ半分程度の重さです。今まで積んでいたのは鉛バッテリー105A(1個約22kg)のツイン仕様だったので、容量は倍以上になりましたが重量はほとんど変わりません。
これまで15年間は鉛のツインサブバッテリーでしたが、今後は超大容量の428Ahリチウムイオンサブバッテリーが我が家のトラキャンの心臓部になります。次回のコラムでは、「バッテリーでエアコンが何時間稼働するのか?」を中心にリチウムの使用感などをレポートしますので、現在リチウム導入を検討している方はお楽しみに!
キャンピングカーライフ研究家/ライター 岩田一成
バンコン、キャブコンを乗り継ぎ、現在の愛車はスペシャル仕様のJ-CABIN HNを載せたハイラックストラキャン。
累積1000泊以上のキャンプ・クルマ旅の経験と、15年以上のキャンピングカー取材経験をベースに、雑誌、WEB、テレビなど様々な形でキャンピングカーの魅力を発信中!