第22回 ライター岩田のトラキャンライフ

2023年09月01日

ライター岩田のトラキャンライフ

 

第22回 猛暑の洗礼を受けてサブバッテリーのリチウム化を決意しました!

 

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近年キャンピングカーの生活電源として、リチウムイオンバッテリーがスタンダードになりつつあります。ちょっと前までは信頼性や安全性、システム構築のノウハウ不足といった不安要素もありましたが、現在では各社ともに知識やノウハウを蓄積し、より安心して使用できるリチウムイオンバッテリーシステムが登場しています。

 

もちろんミスティックでも、信頼性の高い独自のリチウムイオンサブバッテリーシステムを早くから導入しています。そうした流れもあって、「サブバッテリーをリチウムにした方がいいですか?」と相談を受けることも多くなりました。筆者の意見としては、リチウムの必要性は使い方次第。具体的には、「エアコンを使うかどうか」ということです。

 

「サブバッテリーでエアコンを長時間稼働できる」ことが絶対条件であれば、大容量リチウムイオンサブバッテリーの搭載はマストです。逆に、サブバッテリーによるエアコン稼働が必須でないなら、わざわざ高いお金をかけてリチウムにする必要はなく、鉛のディープサイクルバッテリーでも十分です。

 

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我が家のトラキャンは、あえてリチウム化せずに鉛のツインサブバッテリーを搭載していますが、2年半使ってみて電力に不満を感じたことはありません。夏場は北海道で長期旅をするのでクーラーがなくても寝られるし、猛暑の中で車中泊をする場合は、キャンプ場などで外部電源をつないでポータブルエアコンを使用しています。

 

突然訪れたキャンピングカーライフのターニングポイント

 

バンコン、キャブコン、トラキャンと、15年以上も鉛のツインサブバッテリーでキャンピングカーライフを楽しんできた筆者ですが、実は8月に今後のキャンピングカーライフを左右するターニングポイントとなる出来事がありました。

 

8/5-6に幕張メッセで開催された「アソモビ」というイベントでアドバイザーを務めており、主催者に「イベント前日から屋外特設エリアで車中泊してほしい」という依頼を受けていました。この時期の本州でクーラーなしで車中泊するのは自殺行為なので、AC100Vコンセントが使えるならという条件でオファーを受けることにしました。

 

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AC100Vコンセントが使えれば、真夏の車中泊でも何の問題もありません。クーラーで涼しく寝られるのはもちろん、日中もクーラーを付けっぱなしにしておけばイベント中の休憩所・オフィスとしてトラキャンを活用できます。ということで、トラキャンにポータブルエアコンを積み込んで、イベント前夜に特設車中泊エリアへと向かいました。

 

20時に現地到着後、まずはポータブルエアコンの吸排気ダクトをアクリル窓に設置しました。熱帯夜で、シェル内の温度は35℃オーバー! シャワーを浴びたように汗びっしょりになりながらエアコンを設置し、外部電源をつないでクーラーのスイッチをONにしました。ところが! ファンは回るもののコンプレッサーが稼働せず、温かい空気しか出てきません……。たまにコンプレッサーが回って冷たい空気が出てきますが、すぐに停止してまた温かい空気に戻ってしまいます。

 

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ひょっとしてクーラー自体が壊れているのか? 35℃の車内で汗だくになりながら、何度もスイッチを入れ直したり、コンセントを直接車外のコードリールにつないだりしてみましたが、症状は変わらず……。最終手段としてインバーターから電源を取ってみたところ、コンプレッサーが正常に動き出したので、特設エリアに設置されたACコンセント自体の不具合ということがわかりました。(後日テスターでACコンセントを測ったところ、90Vちょっとの低電圧状態でした)

 

インバーター経由でクーラーが作動したまではよかったのですが、外部電源での充電が追い付かず、消費電力は-38A。このままでは、3~4時間もすればサブバッテリーが空になってしまうし、大電流を使い続けることで鉛のサブバッテリーに致命的なダメージを与えてしまうかもしれません……。

 

リチウムイオンサブバッテリーもなければ、大容量ポータブル電源も、発電機もない。外部電源がまともに使えなければ、我が家のトラキャンでは打つ手なしです。結局この日は車中泊を断念して深夜に帰宅し、イベント中は自宅から幕張メッセに通うことになりました。

 

生活電源強化について真剣に考えた

 

イベント終了後、初めて生活電源強化について真剣に考えました。もし真夏に家族と遠方のキャンプ場やRVパークに出かけて同じようなことが起きたら、なすすべなく旅を断念するしかありません。あらゆるケースに対応できるように、生活電源強化はマストではないのか……。

 

具体的に考えたのは、ポータブル電源と発電機の導入です。ポータブル電源は大容量・低価格化が進んでおり、容量5000Wh程度の商品で追加投資は35万円程度。5000Whの容量があれば、1晩程度ならクーラーを稼働できるはずです。しかし、空っぽになったポータブル電源の充電はどうするのか。走行中のシガー充電は最大10A程度なので、フル充電まで約40時間。走行中にサブバッテリー~インバーター経由で急速充電をしたら、サブバッテリー、メインバッテリー、オルタネーターに大きな負担がかかるし、車両~シェル間の配線が大電流に耐えられない可能性もあります。

 

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発電機+防音ボックスの導入も真剣に考えました。バッテリーは電気を使いきれば空になりますが、発電機はガソリンさえあれば無尽蔵に電気を生み出すことができます。しかし、発電機には騒音問題がついて回り、どんなに性能のいい防音ボックスを使用しても絶対に「無音」にはなりません……。

 

アレコレ検討した結果たどり着いたのは、やはり「キャンピングカー専用に構築されたリチウムイオンサブバッテリーシステムがベスト」という結論でした。そんなわけで、現在愛車のトラキャンはミスティックに初の里帰り中! 9月中旬には「究極の生活電源システム」を搭載して帰ってくる予定なので、次回のコラムでは完成したリチウムイオンバッテリーシステムについて詳しく紹介したいと思います☆

 

 

キャンピングカーライフ研究家/ライター 岩田一成

 

バンコン、キャブコンを乗り継ぎ、現在の愛車はスペシャル仕様のJ-CABIN HNを載せたハイラックストラキャン。

累積1000泊以上のキャンプ・クルマ旅の経験と、15年以上のキャンピングカー取材経験をベースに、雑誌、WEB、テレビなど様々な形でキャンピングカーの魅力を発信中!