第21回 ライター岩田のトラキャンライフ
ライター岩田のトラキャンライフ
第21回 トラキャンの居住空間について考える
先日、雑誌オートキャンパーで以前連載していた「トラキャン購入記」を読み返していたら、すごく懐かしく新鮮な気持ちになりました。早いもので、我が家のトラキャンシェルが完成してから2年3ヶ月。トラキャンがやってきてからは、まさにバラ色の日々でした。もちろん、現在も変わらず至福のトラキャンライフを満喫しています。
現在の筆者にとってトラキャンはこれ以上ない最高の相棒ですが、雑誌やWEBの記事、YouTubeの動画などでは「キャブコンより室内が狭い」とデメリットも隠さず語ってきました。それは、キャブコンから乗り替えた筆者の本音ではありますが、現在のハイラックストラキャンで室内の広さに実はそこまで不満を感じていないのも事実。それはナゼなのか?
今回は、トラキャンの居住空間についてお話します。
バンクベッドがトラキャンの最大の武器!
トラキャンのデメリットは、「室内フロアの長さが短い」ことです。ダブルキャブのピックアップトラックの荷台にシェルを積むという構造上、フロントシートの後方をすべて居住空間にしたキャブコンよりも室内が狭いのは当たり前。筆者の感覚では、ハイラックストラキャンの室内の広さは、ライトキャブコンと同等かそれ以上、5×2mクラスのキャブコンよりは確実に狭いといった印象です。
しかしトラキャンには、キャブコンにも絶対負けない大きなアドバンテージがあります! それはズバリ、バンクベッドの広さ! 面積だけで比較すれば同等サイズのバンクベッドを完備したキャブコンはありますが、トラキャンのバンクベッドの魅力は「有効面積」と「天井の高さ」です。
まずは、「有効面積」について。一般的なキャブコンのバンク部分はデザインや空力を考慮した流線形状になっています。先端はもちろん左右にもアールがついているので、バンクベッド自体の面積が広くても、先端に近づくと足が天井に当たってしまうし、左右の壁際は圧迫感があるので、空間全体を使い切ることはできません。その点トラキャンのバンクベッドは、バンク先端の傾斜が緩やかで左右の壁も垂直に立ち上がっているので、ベッドの面積をフルに使うことができます。これが、トラキャンのバンクベッドの1つ目のメリットです。
2つ目のメリットは、「天井の高さ」です。キャブコンのバンクベッドは総じて天井が低く、就寝時はもぐりこむような状態になるため、広さはあっても開放感はありません。その点トラキャンのバンクベッドは、あぐらをかいて座れるほど天井が高いので圧迫感はゼロ! これも、トラキャンのバンクベッドの大きなメリットです。
ちなみに、ミスティックが販売しているフラッグシップキャブコンの「アンセイエ」は、トラキャンと同様のメリットを持っています。一般的なキャブコンと比べると圧倒的に天井が高く、バンク部分がスクエアな形状なので先端や左右の圧迫感も皆無です。そのあたりは、さすがミスティックのキャブコンといったところですね☆
生活スペースとしても使えるバンクベッド
トラキャンのバンクベッドの3つ目のメリットは、位置が低いことです。キャブコンのバンクベッドはコクピット上部に設置されているため位置が高く、就寝時はラダーを使って上がるのがデフォルトです。それに対してトラキャンは、バンクベッドの位置が低いので、ラダー不要でダイネットからヒョイっと上がることができます。実はこの「バンクベッド位置の低さ」が、トラキャンの室内空間における最大のメリットだと思っています!
キャブコンからトラキャンへの乗り替えを決めた際、カミサンを連れてミスティックにハイラックストラキャン(JキャビンH)の展示車を見学に行きました。初めてトラキャンの室内を見たカミサンの第一声は、「広いね~!」。キャブコンを10年乗ってきたカミサンにそう言わしめたのは、バンクベッドの位置が低くダイネットと一続きの空間になっていることが理由だと思います。リアエントランスからバンクベッドの先端までドーンと見通せるので、キャブコン以上の開放感を味わうことができ、スペック以上の広さが感じられるというワケです。
位置が低いバンクベッドの最大のメリットは、就寝オンリーの空間ではなく「生活スペースの一部」として活用できること! 家族でトラキャンに泊まる際、筆者と息子はバンクベッドで座ったりゴロゴロしたりして過ごすことが多いです。仲間とキャンプをする際は、我が家のトラキャンが子供の遊び場になることが多いのですが、そんな時もダイネットに2人、バンクベッドに2人といった感じで、バンクベッドのスペースまでフルに使って遊んでいます。
5×2mクラスのキャブコンと比べると確かに空間自体は狭いですが、居住スペースの一部として使えるバンクベッドがあることがトラキャンの強み。そのため、キャブコンからトラキャンに乗り替えてもストレスを感じることはなく、十分快適に過ごせています。何よりシェルを脱着して2WAYで使えるトラキャンの利便性を考えると、多少の室内の狭さなどまったく問題にはなりません。
キャンピングカーライフ研究家/ライター 岩田一成
バンコン、キャブコンを乗り継ぎ、現在の愛車はSPL仕様のJ-CABIN HNを載せたハイラックストラキャン。
累積1000泊以上のキャンプ・クルマ旅の経験と、14年以上のキャンピングカー取材経験をベースに、雑誌、WEB、テレビなど様々な形でキャンピングカーの魅力を発信中!